| TSChangerは、圧縮伝送装置です。ISDB-T方式の”放送ＴＳ”信号を、衛星またはその他のデジタル通信手段で効率よく伝送します。”放送ＴＳ”の復元時に、番組特定情報(PSI)や番組配列情報(SI)を書き換える機能を持っており、同一の放送TSを複数の地域に配信できます。また、リファレンスクロックの伝送機能を持っているため、リファレンス同期システム、従属同期システムの両方で使用可能です。 |
特長
●放送TS圧縮変換機能
204Byteの放送TS信号を、SNGなどで伝送できる188ByteのTS信号に変換します。同時にNullパケットを削除し、伝送帯域を節約します。圧縮TSにはリードソロモンECCパリティを付けることができます。
●クロック伝送機能
従属同期システムおよびリファレンス同期システムに対応しています。クロック伝送機能を持っているので、PET-150/PET-160(TX)に入力されたリファレンスクロックを、PER-150/PER-160(RX)で再生できます。PER-150/PER-160では、10MHzと8.127MHzを変換できます。
●帯域幅6MHz～8MHzに対応
帯域幅6MHzの放送TSのほか、帯域幅8MHzの放送TSにも対応しています。
●放送TSの遅延調整機能
放送TSの遅延時間を0.1uS単位で調整できます。
●PSI/SI付替機能
PER-150/PER-160(RX)にあらかじめPSI/SIのパラメータを記憶させることで、放送TSのPSI/SI情報を放送エリアごとに変換できます。
●緊急警報放送の起動
PER-150/PER-160(RX)で緊急警報放送(EWBS)を起動し、文字スーパー情報を挿入することができます。また、設置場所が緊急警報のエリア外の時には、緊急警報信号をマスクし受信機の誤動作を防止します。
●平常時の非同期文字スーパーの挿入
緊急警報を起動しないときには、ワンセグパケットのみに文字スーパー情報を挿入できます。この機能は、平常時にニュース、天気予報、広告などの配信に利用できます。また、緊急警報放送(EWBS)を起動しなくても、システムの動作確認を行うことができます。
●TSoverIP インターフェイス
PET-160/PER-160は、DVB-ASIのほか、TSoverIPインターフェイスを装備しています。
TSChangerを用いた放送送信ネットワーク
衛星通信回線、マイクロ波回線、ファイバー回線など、回線の種類に関わらず送信ネットワークを構築することができます。これらを組み合わせた送信ネットワークにも対応できます。もとの放送TSに比べてビットレートが抑えられているので、回線に必要な帯域幅を少なくすることができます。
同期システム
リファレンスクロックを伝送する機能をもっているため、演奏所で生成したリファレンスクロックを送信所で使うことができます。リファレンス同期と従属同期を混在したシステムも可能です。例えば放送地域Aはリファレンス同期でSFNを構築し、放送地域Bは従属同期で使用するという使い方もできます。
注：ジッタの大きな回線では、リファレンスクロック伝送機能が正常に動作しない場合があります。
PSI/SI書き換え機能
PER-150/PER-160 (TSChanger-RX)１台ごとにPSI/SIを設定することができるため、放送地域ごとに異なったサービスを提供することができます。この機能をもちいることで、地域ごとに異なったデータ放送を起動したり、緊急放送の起動を選択したりすることができます。また、将来ローカル放送局を設置する予定がある場合には、あらかじめnetwork_idを割り当てておくことができます。PER-150/PER-160に放送TSを入力し、PSI/SI変換装置として使用することもできます。
緊急放送起動制御
PER-150/PER-160 (TSChanger-RX) は、TMCC情報のB26や、文字スーパー情報を操作する機能を持っています。受信した放送TSのPMTを解析し、PER-150/PER-160が設置された場所が緊急放送の対象エリアに含まれているか否かをエリア毎に判断し、TMCC情報の緊急警報放送起動フラグを操作したり、文字スーパー情報の挿入や書き換えができます。エリア外での受信機の誤動作を防止し、地域毎の情報を発信できます。PER-150/PER-160に放送TSを入力し、緊急警報挿入装置として使用することもできます。
TSChangerの圧縮放送TS信号
圧縮放送TS信号は、ARIB STD-B31において規定されている放送TS信号に含まれるNull Packetを削除して、ビットレートを削減したTS信号です。TSChangerでは更にリファレンスクロック情報を多重し伝送することで、GPSレシーバなどからの同期信号無しで放送TS信号を再生できます。
圧縮TSのビットレート設定範囲
1.000000Mbps～49.999999Mbps
ただし、放送TSの持つ情報量以下には圧縮することはできません。
例えば、帯域幅6MHzの放送TSを、12セグ(64QAM,r=3/4,GI=1/8) + 1セグ(QPSK,r=2/3,GI=1/8)で運用する場合、圧縮TSは、約19.23Mbpsになります。
| 帯域幅 | 放送TS | 圧縮TS |
| 6MHz ISDB-T | 約32.5Mbps | 約19.2Mbps |
| 8MHz ISDB-T | 約43.3Mbps | 約25.3Mbps |
TSChangerの圧縮TS出力は、固定レート(CBR)です。
最低遅延量
PET-150, PER-150の挿入により、2mS程度の遅延が発生します。圧縮率が高くなるほど最低遅延量は大きくなります。
(32.5Mbpsの放送TSを19.3Mbpsに圧縮した場合に、2mS弱になります)
ただし、各送信所での生じる固定遅延量は同一となるため、SFNの構築に影響することはありません。
放送TSの遅延量可変範囲
最低遅延量～65mS
総遅延量は、伝送路の遅延量が加算されます。
PER-150(TSChanger RX)の非圧縮放送TS入力PER-150(TSChanger-RX)は、非圧縮放送TS信号を入力することもできます。PER-150に非圧縮放送TS信号とリファレンスクロックを入力すると、PSI/SI書換、緊急放送起動制御フラグ操作装置として使用することができます。従って、非圧縮伝送ネットワークおよび弊社以外の圧縮／伸長装置を既に利用されているネットワークにも対応できます。
主な仕様
| PET-150/160（TSChanger TX） | PER-150/160（TSChanger RX） | |
| DVB-ASI入力 | 放送TS BNC 75Ω 800mVp-p x 1 TSoverIP RJ-45 x1 PET-160のみ | 圧縮放送TS/非圧縮放送TS BNC 75Ω 800mVp-p x 1 TSoverIP RJ-45 x1 PER-160のみ |
| CLK入力 | BNC 50Ω 0dBm x 1 BNC 75Ω 800mVp-p x 1 (基準クロック伝送用) | BNC 50Ω 0dBm x 1 BNC 75Ω 800mVp-p x 1 (リファレンス同期用クロック入力) |
| CLK出力 | 8.127MHz or 10MHz BNC 50Ω 0dBm or BNC 75Ω 800mVp-p x 3 | |
| ASI 出力 | 圧縮放送TS出力 BNC 75Ω 800mVp-p x 3 TSoverIP RJ-45 x1 PET-160のみ | 放送TS出力 BNC 75Ω 800mVp-p x 3 TSoverIP RJ-45 x1 PER-160のみ |
| Fsync 出力 | BNC 75Ω 800mVp-p x 3 | |
| Ethernet | 100BASE-TX (ＳＮＭＰ(V1,V2c)監視/HTTP監視・機器設定) | 100BASE-TX (EWBS制御/ＳＮＭＰ(V1,V2c)監視 /HTTP監視・機器設定) |
| 電源入力 | AC90V～240V 50/60Hz , 32VA(PET-160 最大値) 活線交換可能２重化電源 | AC90V～240V 50/60Hz , 32VA(PER-160 最大値) 活線交換可能２重化電源 |
| 外形寸法 | 482.6(W) x 44(H) x 400(D) mm, 4.5kg | 482.6(W) x 44(H) x 400(D) mm, 4.5kg |
EWBSローカルインサータ
TSChanger-RX(PER-150) は、TMCC信号の B26(起動制御信号)を操作し、文字情報をスーパーインポーズする機能を持っています。入力された放送TSの緊急が当該エリアかどうか判断し、外の地域に向けた警報をマスクすることで、受信機の誤作動を防止する、フィルタリング機能を備えています。また、EWBS インサータ端末を接続すれば、ローカルの緊急警報を挿入することもでき、地域ごとの細かな情報配信も行うことができます。